保険計理人とは?
保険計理人とは、保険会社の中で保険数理(保険料や責任準備金などの計算の前提)を専門的にチェックし、会社の健全性を数理面から支える法定の専門職です。保険は「将来の支払い」を約束する商品なので、保険料の設定や準備金の積み立てがズレると、長期的に会社の体力が削られます。そこで保険業法は、保険会社に保険計理人の選任を求め、数理の観点から重要項目を確認させる仕組みを置いています。
ポイントは、保険計理人が「ただの社内資格」ではなく、取締役会に意見書を提出し、その写しを監督当局へ提出する義務があることです。つまり、保険計理人の仕事は社内評価だけで終わらず、外部(監督)の目線を前提にした責任ある立場になります。
なお、保険計理人は国家試験の“合格証”で名乗れるタイプではありません。法律上の役職として、一定の知識・経験要件を満たす人が会社に選任される形です。実務では、日本アクチュアリー会の正会員であることが要件の一つになっており、保険数理の実務経験も求められます。
保険計理人の試験概要(=選任要件の概要)
| 資格区分 | その他資格(保険業法にもとづく法定役職)。 |
|---|---|
| 制度上の位置づけ | 保険会社は保険計理人を選任し、一定の事項について確認・意見書作成等を行わせます。 |
| 根拠 | 保険業法により、保険計理人は必要な知識・経験を有する者で、内閣府令の要件に該当する必要があります。 |
| 「試験」はある? | この役職そのものに対応する国家試験はありません。実務上は、アクチュアリー資格(日本アクチュアリー会の正会員)や、保険数理の実務経験を積んだうえで、会社に選任される流れが一般的です。 |
| 代表的な要件イメージ | 保険数理の専門性(アクチュアリー資格等)+保険会社での数理業務経験を満たすことが軸です。 |
| 主な職務 | 責任準備金の積立ての適切性など、法令で定められた確認事項について検証し、意見書・附属報告書を作成します。 |
| 取締役会との関係 | 意見書は取締役会へ提出する運用が前提です。 |
| 監督当局との関係 | 意見書を取締役会に提出後、写しを監督当局へ提出します。 |
| 難易度 | 最高レベル。到達には長期の学習(数理・会計・法令)と実務経験が必要です。 |
保険計理人は、ひとことで言うと「保険会社の数理の番人」です。保険料の根拠、準備金の妥当性、将来の支払能力に関わる論点を、専門家としてチェックします。
求められる知識・スキル(試験内容に相当)
- 保険数理:生命表・発生率、期待値、リスクの見積り、経験分析
- 責任準備金・ソルベンシー:準備金の考え方、負債十分性の考え方
- 商品設計と料率:保険料設定の前提、特約、解約返戻金の考え方
- 会計・開示:計算書類や開示の読み解き、数理と会計の接続
- 法令・監督対応:保険業法・監督指針の理解、意見書作成の姿勢
- 文章力・説明力:取締役会・監督を意識した、誤解のない意見書作成
Q&A
Q. 保険計理人は「国家資格」ですか?
A.
国家試験に合格して名乗る資格ではなく、保険業法にもとづく法定の役職です。一定の知識・経験要件を満たす人が、保険会社に選任されます。
Q. どうすれば保険計理人になれますか?
A.
一般的には、保険会社等で数理業務を経験しつつ、アクチュアリー資格(日本アクチュアリー会の正会員など)を取得し、要件を満たした上で会社に選任されます。
Q. 仕事の成果は社内だけで評価されるの?
A.
違います。意見書は取締役会へ提出し、写しを監督当局へ提出する運用があるため、外部の目線を前提にした責任ある仕事です。
保険計理人が必ず必要な職業/あると有利な職業
必ず必要な職業
- 保険会社の保険計理人(法定役職として選任されるポジション)
あると有利な職業
- アクチュアリー(保険数理担当)
- 保険会社の数理・リスク管理部門スタッフ
- 保険商品開発(プライシング)担当
- 保険会社の財務・ALM・経営企画(数理と会計を接続できる人材)
参考情報/出典
- 保険業法(保険計理人の選任等に関する規定)
- 保険計理人の実務基準(意見書・附属報告書・提出等)
- 日本アクチュアリー会の案内(保険計理人要件に関する記載)


