飼育員(しいくいん)

自然・どうぶつと関わる仕事
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自然・動物と関わる仕事

飼育員の仕事とは??
動物園や水族館で動物の飼育・管理を行い、命を支える裏方として活躍する仕事。

1. どんな仕事?

飼育員は、動物園や水族館などで動物の命を預かる専門職です。毎日のエサやり・体調チェック・掃除に加えて、繁殖や展示方法の工夫、来園者への案内など、幅広い仕事を担当します。

主な仕事内容は、次のようなものがあります。

  • 給餌(エサやり)・給水
    種類ごとに必要な栄養や量を計算し、時間を決めてエサを与えます。食欲の有無や食べ方は健康状態のバロメーターになるため、わずかな変化にも気づく観察力が求められます。
  • 清掃・環境整備
    檻・水槽・寝室・展示スペースなどの掃除を行い、衛生的な環境を保ちます。糞尿やニオイの管理だけでなく、床材や水質、温度・湿度なども調整し、動物がストレスなく暮らせる環境づくりを行います。
  • 健康管理・医療サポート
    体重測定や糞便検査、行動の記録などを通して体調をチェックします。異常があれば獣医師に報告し、投薬や処置の補助を行うこともあります。日々の小さな異変に気づけるかどうかが、重い病気の早期発見につながります。
  • 繁殖・個体管理
    繁殖計画に基づいてペアリングを行い、出産・子育てを見守ります。血統や個体識別番号、年齢、性格などの情報を細かく記録し、長期的な個体管理を行うのも大切な仕事です。
  • トレーニング・行動の工夫
    採血や体重測定などの医療行為をスムーズに行うため、ターゲットトレーニングなどのハズバンダリートレーニングを実施します。また、おもちゃや給餌方法を工夫して「行動のレパートリー」を増やす環境エンリッチメントも行います。
  • 来園者対応・ガイド
    エサやりタイムやガイドツアー、バックヤードツアーなどで来園者に説明を行います。動物の生態や保全の重要性を伝えることで、教育・啓発の役割も担っています。

これらの仕事は、早朝からの勤務・屋外作業・重い物の運搬など体力が必要な面もありますが、長い年月をかけて同じ動物を見守り続けられる、やりがいの大きな仕事です。

2. どんな人に向いてる?

  • 動物に対して深い愛情と責任感がある人
  • 地道で体力のいる作業をいとわない人
  • 細かい変化を見逃さない観察力がある人
  • 命を預かる重みを理解できる人

3. 飼育員になるには?(進路チャート)

🎓 高校卒業
  ↓
🎓 動物系専門学校・大学・短大で動物飼育を学ぶ
  ↓
🦁 動物園や水族館などに就職(狭き門)
  ↓
📚 採用試験や実習経験が求められる場合もあり

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4. 飼育員に必要な資格やスキル

  • 特別な資格は不要(学歴と実習経験が重視される)
  • 動物生態の知識、観察力、体力
  • コミュニケーション力(飼育チーム・お客さま対応)

5. 活躍の場・働き方

  • 動物園
  • 水族館
  • 野生動物保護施設
  • 研究機関・大学の飼育部門

6. 飼育員の平均年収は?

飼育員の年収は、勤務先が公立か私立か・雇用形態・地域によって大きく変わります。ここではあくまで目安としてのイメージをまとめています。

  • 初任給の目安
    新卒で地方自治体の職員や正社員として採用された場合、月給はおおよそ17万〜20万円前後が目安です。各種手当や賞与を含めると、年収で約250万〜300万円程度からスタートするケースが多いと言われます。
  • 経験を積んだ場合の年収
    公立動物園・水族館で地方公務員として働く場合、勤続年数や役職が上がるにつれて、年収350万〜450万円程度まで伸びることがあります。係長クラス以上になると、それ以上の年収になることもあります。
  • 私立施設・契約職員の場合
    テーマパーク併設の施設や民間企業が運営する施設では、正社員・契約社員・アルバイトなど雇用形態が多様です。年収は200万〜300万円台前半にとどまるケースもあり、公立施設と比べると差が出やすい傾向があります。
  • 手当・働き方による差
    夜間当番や宿直、危険物取扱手当などがつく職場もあります。また、資格(獣医師・学芸員・潜水士など)を活かして専門性の高いポジションに就くと、給与面で優遇される場合もあります。

全体としては、同じ「動物に関わる専門職」の中でも高収入を狙う仕事ではないものの、動物とじっくり向き合えることに魅力を感じている人が多い職種です。

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7. 向いてない人は?

  • 動物のにおいや汚れが苦手な人
  • 早朝勤務や当番制の働き方に不向きな人
  • 細かな健康チェックや地道な作業が苦手な人

8. よくある質問(Q&A)

Q. 動物園に入るにはどうしたらいい?
A. 各園の採用試験(公務員試験含む)や、実習・アルバイトでの経験が有利。

Q. 危険な仕事ではないの?
A. 大型動物などは慎重な扱いが求められ、危険管理の訓練も受ける。

Q. 女性でもなれますか?
A. 体力があれば女性飼育員も多数活躍している。

9. 関連する仕事

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10. 現場の声

■ 職業・職歴
飼育員/地方公立の動物園勤務・8年目

■ 仕事内容
現在は、キリンやシマウマなど草食動物エリアを担当しています。
早番の日は開園前からエサの準備と健康チェックを行い、糞の状態や歩き方、表情などを見ながら1頭ずつ記録をつけます。
日中は清掃や環境づくりに加え、ガイドイベントでお客様に動物の魅力や保全の話を伝える時間も多いです。閉園後は翌日のエサの仕込みや、繁殖計画に関するミーティングを行い、1日はあっという間に過ぎていきます。

■ やってよかったこと
長く担当しているキリンが無事に出産し、親子で元気に走り回る姿を見たときは、思わず涙が出ました。
毎日同じように見える仕事の積み重ねが、「命をつなぐ」ことに直結していると実感できる瞬間です。
また、ガイドを聞いたお客様から「動物園の見方が変わりました」「また来ます」と声をかけてもらえると、地道な準備や勉強が報われた気持ちになります。

■ 大変だったこと
悪天候でも動物の世話は休めないので、台風や大雪の日でも出勤します。
重いエサ袋や藁を運ぶことも多く、体力的にはかなりハードです。
また、どれだけ気をつけていても病気や事故を完全に防げるわけではなく、命と向き合うつらさを感じる場面もあります。そのたびに記録を見直し、原因を考え、二度と同じことが起きないようにチームで話し合います。

■ これから目指す人へ
「動物が好き」という気持ちはもちろん大事ですが、実際の現場では掃除・記録・点検など地味な作業が仕事の大部分を占めます。
それでも、毎日の積み重ねの先に「元気に暮らす動物の姿」や「笑顔で見守るお客様の姿」があると分かっていれば、頑張れる仕事です。
動物に関する知識だけでなく、生物・環境・保全の勉強もしておくと、ガイドや解説の幅が広がります。コツコツ続けることが得意な人には、とても向いている職業だと思います。